アトリエの日々
重なりあう時間
2015年11月15日
音楽家の青木隼人さんをお迎えし、アトリエで初めての演奏会が開かれた。
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未来シネマのBen Matsunagaさんが作って下さった、Bonamiのショートドキュメンタリー。
その映像にBenさんが選んだのが、隼人さんの音楽だった。
隼人さんの音とBonamiの空気が自然に共鳴するのを感じたBenさんは、
直感に従って編集作業を進め、できあがって初めて、隼人さんに楽曲の使用を申し入れたと言う。
映像を見た隼人さんは、面識のないBenさんの申し出を快諾した。
こうしてBenさんと隼人さんが出会い、隼人さんとBonamiが出会った。
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隼人さんは、アトリエの窓を開けて外の空気と音を招き入れた。
共に在る時間と空間を優しくふるわせながら、隼人さんのギターは
気付きさえしなかったあらゆる空白を満たしてゆく。
ゆっくりと静かに。
みな自然と目を閉じて、自らの境界を開放しているようだった。
それぞれのからだも、ただ、ふるえる空気。
音楽の一部に違いなかったと思う。
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アトリエに宵闇が滲むと、壁にスクリーンがかけられ未来シネマの上映会が始まった。
映し出された映像は、ショートドキュメンタリー「Bonami」
そこにあったのは、ちょうど一年前の“今”、“この場所” だった。
聡さんが、この本(dear my sister)をもっと素敵なかたちにして、
たくさんの人に見てもらいたいと言った。それが、たぶん、Bonamiの “はじまり”
スクリーンの中で、そう語る私。
Bonamiのはじまりの本。大事な大事な本。いつか、きっと作りたいと思っていた本。
けれど、その “いつか” を知らない私たちがそこにいて、
一年経った今、この同じ場所に、その本が並んでいる。
“いつか” は “今”だった。
それを知った瞬間、私の胸は信じられないほど熱くなり、息もできない程だった。
この同じアトリエの、一年前と今日。
時間と時間が重なり合う、その瞬間に立ち会った。
そして、スクリーンの中の音楽は、今この場所に在り、確かに“今”を震わせているのだ。
それは、とても特別な経験だった。
この一日でしかあり得ない、もう二度と訪れない、特別な気持ちだった。
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隼人さん
Benさん
同じ時を、共に過ごして下さった皆様に
心からの感謝を捧げます。
特別な一日に
Bonami 杉山聡 三木葉苗 三木咲良 and Katri