ボナミの本

dear my sister

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「dear my sister」 
2015年11月1日(日)発行 5,000円(税込) 
210 × 150 mm 全24ページ
絵・三木 咲良 文・三木 葉苗 題字・三木 咲良 発行者・杉山 聡 発行所・Bonami
ブックデザイン・活版印刷・製本 Bonami  オフセット印刷 東湘印版株式会社

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作・印刷・製本をすべて自分たちの手で。
活版印刷と手製本で綴るBonamiのオリジナル4作目「dear my sister」は
言葉を持たない妹の絵 と 姉の言葉。

 

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きみはことばがはなせないから きみのきもちがわからない 言ってみた 何度も 何度も

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私たち姉妹が、 最初に「dear my sister」を作ったのは2000年のこと。
私が25歳、妹が20歳の時でした。
コンビニのコピー機と糊で作った、拙いたった1冊の本。

その10年後
長い間、誰にも見つけられず、 本棚にひっそりと収まった本を見つけた私の夫が
これをもっと素敵に仕上げて、ひとに見てもらいたいと言いました。

それが、Bonamiのはじまりです。

今、Bonamiとして、この本が新しく生まれたことを 心から幸せに感じます。



杉山 聡 三木 葉苗 三木 咲良


この三人で、Bonamiとして在れることに心から感謝します。

 

 

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作業のすべて

 

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原画は三木咲良のドローイング。15年前の一時期、集中して描きためたもの。
カレンダーの裏側に水性ペンで描かれた丸の集合は、まるで感情の気泡のように自然と湧き上がった。
この本を作る上で、もういちど原画と向き合い、50点の原画から11点を選びなおしました。
今、生きている私たちがつくる新しい「dear my sister」です。

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咲良の原画の色彩と躍動を、オフセット印刷で鮮やかに再現して下さったのは、東湘印版さん。
私たちの本に対する思いに、親身に向き合って、細やかに心を配って下さいました。

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文字の印刷は、Bonamiで。今回もすべて小さな手動の活版印刷機 Adana21J で行いました。
一版ずつ、印圧や細かい調整を重ね、試し刷りを繰り返す作業は、
孤独でありながら、印刷機との濃密な対話のようでもあります。

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言葉はすべて金属活字の組版で。
妹の描く感情の気泡と同じように、言葉もまた、生まれてはほぐれていく。
活字の鋳造は、横浜の築地活字さんにお願いしました。
100年続く活字屋さんで、私たちが活版印刷に出会うきっかけを作ってくださった大切な人です。

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表紙は、咲良の水玉のシルエットと手書きの題字を樹脂凸版に。
いつものように製版は真映社さんにお願いしました。
Adana21Jには収まらない大きさなので、小さなローラープレス機で一枚一枚手刷りしました。

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Bonamiのアトリエで、咲良の初作業!
咲良の描く水玉を消しゴムはんこにして、製本クロスにペタペタ捺します。
環境や習慣を変えることが苦手な自閉症。妹の作業は、いつも実家に出向いて行っていました。
いつかアトリエで一緒に作業したいと思っていた私にとって、忘れられない一日に。

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アトリエの3姉妹。

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水玉を手捺しした布は、カットして背表紙にします。

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すべての印刷工程を終え、インキの乾いた紙を、一枚ずつ折っていきます。
厚めの硬い紙なので、ずれないよう慎重に。両面を確認しながら、最後は木の棒で優しくしっかり押さえます。

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折った紙を重ねた時にとび出す小口を、カッターで切りそろえます。
なかなかに地道な作業で、さずがのカトリも大あくび。

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新月に始まった本の制作。満月の日に、すべてのパーツが揃いました。

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「dear my sister」は “糸かがり綴じ” でつづります。
これまでのBonamiの本と違い、かがり糸が最後にはかくれてしまうので、今のうちに記念撮影。
最後に、軸糸をほぐすのも忘れずに。

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見返し(咲良の好きなピンク色にしました)を貼ったら、ボンドと和紙で背を固めます。
軸糸をほぐしていたのは、できるだけ表に響かないようにするため。

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本の背が固まったら、同じように背表紙のクロスを貼ります。
一工程ごとに朝を迎え、道具が朝陽を浴びるのを、その都度美しいと思う。

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いよいよ表紙を貼ります。いちばん緊張するところ。ここで失敗したら、すべてが台無しになってしまう。
広い面にのりを付け、本文と表紙、そして表と裏をずらさずに貼り合わせるのは、とても神経を使います。

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表紙の糊付けが終わったら、はやる気持ちをぐっとこらえて、しっかりプレス。
待つのも、大事な作業のうち。

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こうして完成した愛しい愛しい本たち。それぞれ違う表情。

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咲良の文字を消しゴムはんこにして、一冊ずつシリアルナンバーを捺しました。

 

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いつかこの本を作ることが、Bonamiの夢でした。

夢がかなった私たちが、これ以上のことを望むのは、欲張りかもしれません。

けれど、読んでほしくて作った本です。

どうか どうか たくさんの人の手にとっていただけますように!

 

心から感謝を込めて

2015年11月

Bonami

 

 

 

 

 

 

 


2015-11-05 | Posted in ボナミの本 | Comments Closed