アトリエの日々

「dear my sister」立ち会い印刷 @ 東湘印版


一瞬 一瞬 生まれては消える 感情の気泡は


私が思うより もっと鮮やかで もっと淡く もっと静かで もっと躍動していた

 

刷り上がった印刷物が、改めてそれを教えてくれた。
15年前の妹のペンの運びや勢い、ためらいが、そのままそこにあり
胸が熱くなった。

すべて手作業で本を制作しているという、風変わりな私たちの突然の相談を
あたたかく受け止めて下さり、親身になって考え、尽力して下さった
東湘印版の石川社長、制作部の池田さん、印刷部の崎山さんに、心からの感謝を捧げます。

皆さんの仕事に対する姿勢、技術、言葉、笑顔・・・
それをはっきりと思い浮かべながら、これからの作業を行えるということ
私達の本づくりにとって、いちばん幸せで、いちばん必要なことでした。

それを叶えて下さって、本当にありがとう!!

 

PA084439

 

* * *

 

PA084482

10月8日 藤沢市長後にある東湘印版さんへ。
「dear my sister」のイラスト(カラー部分)の印刷工程に立ち会わせていただきました。

PA084505

制作部の池田さんは、プロのカメラマンでデザイナー。
データづくりで、多くのアドバイスをいただきました。
「妹さんが描かれた色を、どれだけ再現できるかが、いちばん大事なことです。」
はじめてお会いした時に、まっすぐにそう言われて、その瞬間、緊張が安心へ。

PA084491

印刷担当の技術者、崎山さんは誠実で丁寧な仕事ぶりが印象的な人。
作業のひとつひとつに、日々積み重ねて来た経験が光ります。
技術もさることながら、美しい印刷を支えているのは、人の正直さなんだと改めて感じました。

PA084427

PA084426

PA084466

PA084508

PA084512

PA084494

PA084500

PA084417

PA084497

PA084469

 

心のどこかで、機械の無機質さばかりを増幅させてイメージしていたのかもしれない。

実際に東湘印版さんで出会ったのは、愛情をかけて使い込まれた大きな機械と
あたたかく正直な人間の仕事だった。

この色を実現させるために、どの印刷方法を選ぶか。紙質は?インキは?データづくりは?
あらゆる点で最良の方法を探っていただき、的確なアドバイスをいただいた。

理想の仕上がりになるまで、機械とインキの状態を高め、何度も試し刷りを繰り返す。
発色が基準値に達しているかは、機械で読み取ることができる。
一瞬のうちに画面に数値が並び、明快だ。けれど、それが正解とは限らない。
人の目と心で感じる理想に近づくまで、何度もやり直す。

同じ紙を使っていても、表面の摩擦によって機械に吸い込まれるスピードが変わってしまう。
両面にずれを生じさせないために、その0. 何ミリかの違いを目で確認して、紙をはじく。

規模は違えど、私達が小さなアトリエで日々試行錯誤していることと、少しも違わない。
機械を扱うのは人。人の仕事には、目に見えない手間ひまと心が通っている。
当然のことなのに、それを目の当たりにして、私達はやはり感動し、安心する。

「機械メーカーはボタンひとつで、誰でも失敗しない”スキルレス”の機械を作ることに必死だ。
けれど、受け継いで来た機械と、人の感性や技術を守りたい。そういう場所としての会社を守りたい。」

石川社長の言葉が、心に沁みました。

東湘印版さんで、大切に印刷していただいた咲良の絵。
15年前の鮮やかさを取り戻して、なんとも誇らしげです。
これから、心して、次なる作業に取りかかります!

 

 

 

 

 

 


2015-10-15 | Posted in アトリエの日々 | Comments Closed