アトリエの日々
芭蕉布の本
素材をこよなく愛するひとに依頼されたのは、やっぱりとっておきの “素材” の本でした。
手績みの希少な芭蕉布のハギレを標本のように綴じた、小さな裂帖。
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「芭蕉布の本」手製本メモ
仕様:アコーディオンブック(蛇腹製本)
表紙には紙漉き師ハタノワタルさんの藍染めの和紙。
柿渋色の繊細で野性味のある手漉き和紙に、染めが重なり、なんとも言えない群青色。淡くて深い。
ハタノさんの紙の両極の混在する質感に見惚れて
こころもからだも震わせながら、慎重に箔押しした「Bashofu」の文字。
見返しには「芭蕉布」と活字を組んで活版印刷。
本文紙は、羊毛紙。
文字通り、羊の毛が混じった紙はラフでふっくらとした手ざわり。
折り筋がつきにくく、すぐにふわっと元に戻ろうとするので、ずらさずに綴じるのに苦労した。
けれど主役の芭蕉布を引き立てつつ、それに見合う台紙としてはこれより他にないかもしれない。
小さな芭蕉布の、そのほつれやゆがみも全て大事に、
布そのものに綴じ込められた時間や空気に触れることができるように、
裏打ちや糊付けをすることなく四隅を平たく打った紙縒紐だけでとめた。
はりのある芭蕉布だからこそ、こんなに素朴な方法が叶った。
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いつもすてきな事をいっぱい教えてくれるお友達の nunocha さん。
こんなに美しい本を仕立てる幸せをくださって、ありがとうございました!!
2015-07-22 | Posted in アトリエの日々 | Comments Closed