アトリエの日々

記憶のモンプチ

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旅するレストラン トラネコボンボンの中西なちおさんは

東日本大震災のあと、福島のために活動するお友達へ向けて

毎日、動物の絵を送り続けました。お友達が、そう望んだからです。

毎日毎日 一日も欠かすことなく。

動物の絵と、それに添えられた日々の言葉。

これは、2011年3月27日から2012年12月31日までの図録です。

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初めて「記憶のモンプチ」を開いたとき、

数ページ読むと、私は近くに住む妹のところへ走りました。

なぜか、妹といっしょに読みたいと思ったからです。

なちおさんの描く、楽しくてあたたかい絵を見せながら、

ほら、ニャーニャだ。ペンギンもいるよと、指をさしながらページをめくりました。

そのうちに私は妹の隣に座って、絵に添えられた文章を声に出して読み始めました。

私の妹は重度自閉症で言葉を持ちません。

話すことだけでなく、それを理解することも出来ないと知りながら

それでも私は、ゆっくりと妹に聞かせるように本を読みました。

隣で妹は、ただ穏やかな顔をして座っていました。

わかっているのかいないのか、時々、楽しそうにけらっと笑ったりもしました。

あんなに長い時間、妹と一緒に本を読んだという経験は初めてのことです。

とてもはっきりと、時間と気持ちを共有していると感じられる、大切な大切な経験でした。

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1ページが、1日

「記憶のモンプチ」の厚さは、あの日から、私たちが積み重ねてきた時間の厚さです。

何が起っても 続いていく毎日

毎日毎日、欠かさず思い出すということ、欠かさず届けるということ

正直に積み重ねていくことの、強さと優しさと、かなしさを

「記憶のモンプチ」は思い出させてくれます。

それが必ず誰かに届くということも。

なちおさんは、今でも

ご自身のブログに動物の絵を更新し続けています。

http://bon.toranekobonbon.com

この本を、私の周りにいる、少しでも多くの人に紹介したい。

その願いが叶って

今、Bonamiのアトリエに、「記憶のモンプチ」が並んでいます。

11月30日・12月1日のオープンデーで、ぜひ、お手に取ってみて下さい。

オープンデーについて詳しくは

こちら


2013-11-21 | Posted in アトリエの日々 | Comments Closed